データの出どころ
SWIM とは — 日本の NOTAM はここから配られている
SWIM(System Wide Information Management/システムワイド情報管理)は、 国土交通省航空局が運用している航空情報の共有基盤です。 かつて AIS Japan が担っていた役割は、いまここに移っています。
ただ「SWIM = NOTAM を見るサイト」と考えると、たいてい入口を間違えます。 SWIM は21のサービスの集合体で、NOTAM に関係するのはそのうち2つだけ。しかもその2つは名前がよく似ていて、 片方には画面がありません。ここでは2026年8月23日に実際に確認した内容だけを書きます。
このサイトは国土交通省・航空局の公式サイトではありません。表示は参考用で、実際の飛行の計画・判断には必ず公式の航空情報(SWIM/AIS)の原文を確認してください。NOTAM は空域の制限や施設の状態を知らせるもので、催し物の開催を公式に告知するものではありません。
SWIM は「NOTAMのサイト」ではない
SWIM のサービス一覧には、2026年8月23日時点で21のサービスが「運用中」として並んでいます。 NOTAM はその一部にすぎません。全体像はこうなっています。
| 分野 | サービス |
|---|---|
| デジタルノータム | デジタルノータムリクエストサービス/デジタルノータム配信サービス |
| AIP | AIPファイルダウンロードサービス/AIP閲覧サービス/AIPデータ配信サービス(初回・更新) |
| ATIS | ATIS情報リクエストサービス/ATIS情報配信サービス |
| C-PIREP | C-PIREP登録サービス/C-PIREPリクエストサービス/C-PIREP配信サービス |
| プロファイル | 空港プロファイルサービス/空域プロファイルサービス |
| ATS(フライトデータ) | フライトプラン登録サービス/ATS情報リクエストサービス/ATS情報配信サービス |
| 気象 | 気象情報配信サービス |
| その他 | メッセージWebメールサービス/スロットリクエストサービス/PKGリクエストサービス/SWIM管理サービス |
サービスには S2019 のようなサービス番号が振られています。
先頭が S なら利用者が取りに行く「WEBサービス」、
P や M なら向こうから送られてくる「配信サービス」です。
問い合わせや資料はこの番号で特定されるので、番号で覚えておくと話が早くなります。
★ 名前の似た2つ — 「リクエスト」と「配信」を取り違えない
NOTAM に関わるサービスは2つあります。ここを取り違えると、申請し直しになります。
| デジタルノータムリクエストサービス | デジタルノータム配信サービス | |
|---|---|---|
| サービス番号 | S2019 | P2004 |
| 方式 | こちらから取りに行く | 向こうから送られてくる |
| 画面 | ある(ブラウザで検索・閲覧できる) | 無い |
| 提供方式 | ブラウザ/Web API の2通り | 受信システムを自分で作る |
公式のよくある質問にも、配信サービスについて 「ノータムを見るためにはユーザーシステムでデータを受信し表示するためのシステム構築が必要」で、 構築しないならリクエストサービスを使うようにと明記されています。
つまり「とりあえず日本の NOTAM を見たい」なら、選ぶのは S2019 のほうです。 配信サービスは、自社システムに NOTAM を流し込みたい事業者向けの口だと考えてください。
なお S2019 のサービス詳細には、サービス利用審査「無し」と書かれています。 審査ありのサービス(別途申請書の提出を求められるもの)とは手続きが違います。
★ 誰のための基盤か — 一般向けには作られていない
これは最初に知っておいたほうがよい前提です。公式のよくある質問に、こうあります。
- 当面の間、航空関係者(運航者・空港管理者・官公庁等)による利用とし、一般の方の利用は想定していない
- 利用料は無償。ただしインターネット回線や端末など、環境を整える費用は利用者の負担
- 自家用の場合、アカウントは個人名でも登録できる
- アカウントに使えるメールアドレスは、
@より後ろにピリオドが1つ以上あるもの。フリーメールでも条件を満たせば使える
「一般の方の利用は想定していない」というのは、登録が禁止されているという意味ではなく、 画面も用語も航空関係者向けに作られているということです。 実際、検索条件の欄には FIR・シリーズ・スコープ・Qコードといった語が説明なしで並びます。
このサイトが NOTAM を日本語に直して並べているのは、この差を埋めるためです。 原文と突き合わせたいときは デコーダ に貼り付けると、 Q項からG項までを分解して表示します。
★ ロケーションで引けない7つがある
検索画面には「ロケーション」欄があり、ふつうは RJTT(羽田)のように
空港の ICAO コードを入れて引きます。ところが入れても引けないコードが7つあります。
これらは空港ではなく、情報の種類ごとに割り当てられた符号だからです。 公式のよくある質問が、代わりにシリーズで引くよう案内しています。
| コード | 指定するシリーズ |
|---|---|
RJTD | R |
RJDR | U |
ROBL | V |
RJJW | W |
RJJX | X |
RJJY | Y |
RJJZ | Z |
これを知らないと「該当なし」を「NOTAM が出ていない」と読み違えます。 空港に紐づかない空域の告知は、ロケーション欄では出てきません。 シリーズ記号そのものの意味は NOTAM の種類 で説明しています。
もうひとつ、国内ノータム番号での検索もできません。 検索できるのは国際ノータム番号のほうです。 ただしリスト表示にすると、国際ノータム番号の隣に国内ノータム番号が併記されるので、 番号を突き合わせたいときはリスト表示に切り替えてください。
★ 検索結果には上限がある — 広く取ると0件に見える
実際に使って分かったことです。条件を広くするほど結果が増える、とは限りません。
検索結果には1000件の上限があり、条件に当てはまるものがそれを超えると、 結果が返ってこなくなります。「日本全体」「期間を長く」といった引き方をすると、 0件のように見えるのに、実際は多すぎて返せていないという状態になります。
対処は単純で、分けて引くことです。空港ごと、シリーズごと、Qコードごとに条件を刻めば、 それぞれは上限に当たりません。このサイトの一覧も、空港と空域を別々に引いて後から束ねています。
「見つからない」と「多すぎて返せない」を区別することが、この画面では特に大事です。 条件を広げても0件のままなら、まず上限を疑ってください。
ログインはどれくらい保つか
取得作業の段取りに関わるので、公式に案内されている数字を書いておきます。
- 操作がないまま1時間で自動的にログアウトされる
- 画面を操作し続けても、ログインから24時間で再ログインが必要になる
- ログイン時に1分以内に5回以上失敗すると、アカウントが1時間ロックされる
- パスワードに有効期限は無い
まとまった量を取るなら、ログイン直後に一度で済ませるのが確実です。 途中で切れると、画面は開いているのに応答だけがログイン画面に飛ばされる、という分かりにくい形になります。
また、新しいサービスの利用を申請した直後に、そのサービスを開こうとすると
403 FORBIDDEN が出ることがあります。これは不具合ではなく、
一度ログアウトしてログインし直すと通ります。公式のよくある質問に手順として載っています。
★ 無効な NOTAM が混ざることは公式に告知されている
2026年7月17日付で、航空情報センターから 「デジタルノータムリクエストサービスで無効となったノータムが抽出・表示される件について」 というお知らせが出ています。2026年8月23日時点でも掲示されたままです。
取り消し済み・差し替え済みですでに効力を失った NOTAM が、検索結果に混ざることがあるということです。
影響は2つあります。ひとつは件数を鵜呑みにできないこと。 もうひとつは、同じ内容が新旧2本並ぶことがある点です。 NOTAMR(差し替え)は、参照している元の番号を持っています。 新しいほうがどれかは番号と参照関係で判断できるので、 見分け方は NOTAM の種類 にまとめてあります。
このサイトでも、取り込んだあとに種類と有効期間で選別しています。 それでも原文が正であることは変わらないので、 実際の飛行の判断には必ず公式の原文を確認してください。
配られる形式は AIXM — 従来の電文とは別物
SWIM の NOTAM は、リクエスト・配信のどちらも AIXM に準拠した XML 形式で提供されます。 AIXM(Aeronautical Information Exchange Model)は、航空情報を機械が扱える構造で表すための国際的な仕様です。
従来の NOTAM は、電報の名残がある1本のテキストでした。
Q) や A) といった記号で項目を区切る、あの形式です。
AIXM ではそれが項目ごとのデータになっているので、
「有効期間だけ取り出す」「座標だけ取り出す」といった処理がそのままできます。
ただし、人が読む本文にあたる E項は、いまも英語の略語だらけの一行です。 構造化されたのは器のほうで、中身の書き方が変わったわけではありません。 略語の意味は 略語の対訳表、 Qコードは Qコード対訳表 で引けます。
仕様書としては、サービスごとの説明書のほかに 「デジタルノータム仕様書」「SWIMサービスAPI連携仕様書」がポータルで公開されています。 Web API でつなぐ場合は、共通編とサービス個別編の2冊を読むことになります。
よくある質問
SWIM は誰でもアカウントを作れますか。
公式のよくある質問では「当面の間、航空関係者(運航者、空港管理者、官公庁等)による利用とし、一般の方の利用は想定していません」と案内されています。一方で、自家用の場合は個人名での登録ができるとも書かれています。禁止されているという表現ではありませんが、一般向けに作られた画面ではありません。
利用料はかかりますか。
2026年8月23日時点で、SWIM サービスの利用料は無償と案内されています。ただしインターネット回線や端末など、利用する環境を整える費用は利用者の負担です。
NOTAM を見たいだけなら、どのサービスを申し込めばよいですか。
デジタルノータムリクエストサービス(S2019)です。ブラウザで検索・閲覧できます。名前の似た「デジタルノータム配信サービス」(P2004)には画面が無く、受信して表示するシステムを自分で用意する必要があります。
検索したのに1件も出てきません。NOTAM が出ていないということですか。
断定できません。理由が3つ考えられます。ひとつは検索結果の1000件という上限で、条件が広すぎると結果が返らなくなります。ふたつめは、空港に紐づかない情報がロケーション欄では引けないこと(シリーズで指定します)。みっつめは、国内ノータム番号では検索できないことです。条件を広げても0件のままなら、まず上限を疑ってください。
AIS Japan との違いは何ですか。
提供元は同じ国土交通省ですが、仕組みが変わりました。AIS Japan は閲覧するサイトでしたが、SWIM は機械でやり取りすることを前提にした情報基盤で、NOTAM も AIXM という XML 形式で配られます。移行の経緯は日本の NOTAM をどこで見るかのページにまとめています。
