書式

NOTAM(ノータム)の読み方

NOTAM は「ノータム」と読みます。ここでの本題は発音ではなく電文の読み方です。NOTAM は自由な文章ではなく決まった順番の項目でできていて、順番さえ分かれば、英語が読めなくても「何が・いつ・どこで」までは取り出せます。

このサイトは国土交通省・航空局の公式サイトではありません。表示は参考用で、実際の飛行の計画・判断には必ず公式の航空情報(SWIM/AIS)の原文を確認してください。NOTAM は空域の制限や施設の状態を知らせるもので、催し物の開催を公式に告知するものではありません。

まず全体の形を見る

次は書式を説明するための例です(実在の運航情報ではありません)。

(A0123/26 NOTAMN
Q) RJJJ/QRTCA/IV/BO/W/000/100/3823N14100E005
A) RJJJ
B) 2609050100
C) 2609050700
D) 05 0100-0700
E) TEMPORARY RESTRICTED AREA ACT WI 5NM RADIUS OF 382300N1410000E.
F) SFC
G) 10000FT AMSL)

先頭の A0123/26 が通し番号、NOTAMN が種類です。 そのあとに Q) から G) までの項目が続きます。 すべての項目が必ず出るわけではなく、内容によって省かれるものがあります。

項目何を表すか
Q)機械が読むための要約。ここだけで「何がどうなったか」が分かる
A)対象の飛行場や飛行情報区(ICAO の4文字コード)
B)有効の開始日時(UTC)
C)有効の終了日時(UTC)。PERM や UFN のこともある
D)期間の中で実際に実施される時間帯。省かれることが多い
E)本文。人が読む前提の英文
F) G)下限の高度と上限の高度

Q項がいちばん情報量が多い

Q項はスラッシュで8つに区切られています。上の例だと次のように分かれます。

Q) RJJJ / QRTCA / IV / BO / W / 000 / 100 / 3823N14100E005
   ①      ②       ③    ④    ⑤   ⑥     ⑦     ⑧
値意味
①RJJJ飛行情報区。RJJJ は福岡 FIR で、日本のほぼ全域を覆う
②QRTCAQコード。RT=臨時制限空域、CA=実施される
③IV対象の交通。IFR と VFR の両方
④BO扱い。飛行前情報公報に載せる/運航に重要
⑤W情報の範囲。航法警報
⑥000下限。000 は地表面
⑦100上限。FL100 = おおむね 10,000 ft
⑧3823N14100E005中心が北緯38度23分・東経141度00分、半径5海里

②の5文字がこの仕組みの中心です。Q に続く2文字が何について、 次の2文字がどうなったかを表します。組み合わせは Qコードの対訳表で引けます。

★時刻は日本時間ではない

B項・C項・D項の時刻はすべて世界標準時(UTC)です。日本時間にするには9時間を足します。 ここを読み違えると、9時間ずれた予定を読むことになります。

B) 2609050100  →  2026年9月5日 01:00 UTC  →  日本時間 10:00
C) 2609050700  →  2026年9月5日 07:00 UTC  →  日本時間 16:00

日付をまたぐ場合はさらに注意が要ります。たとえば 2609042200(9月4日22:00 UTC)は 日本時間では9月5日の朝7時です。日付が1日ずれます。

デコーダは B項・C項を自動で日本時間に直します。 ただし D項は書き方が一定でないため変換していません。D項の数字も UTC です。

終了時刻の特別な書き方

  • PERM … 恒久。終わりの定めがない
  • UFN … 追って通知があるまで
  • 末尾の EST … 見込み。その時刻を過ぎても続くことがある

E項は略語の塊

E項は人が読む前提の英文ですが、実際には略語が詰まっています。上の例なら次のように読めます。

TEMPORARY RESTRICTED AREA ACT WI 5NM RADIUS OF 382300N1410000E.
                            ↑   ↑  ↑
                            |   |  半径
                            |   海里
                            実施中

WI は within(〜の範囲内)、NM は海里、ACT は active(実施中)です。 よく出る略語は略語の対訳表にまとめてあります。

座標は 382300N1410000E のように、緯度が「度度分分秒秒+N/S」、 経度が「度度度分分秒秒+E/W」で並びます。秒を省いた 3823N14100E の形もあります。

D項は「期間の中のどこか」を指す

B項からC項まではその NOTAM が有効な期間です。 その間ずっと制限がかかっているとは限りません。実際に実施される時間帯が D項です。

B) 2609050100          有効の開始
C) 2609120700          有効の終了(1週間ある)
D) 05 08 10 0100-0700  ← 実施されるのは5日・8日・10日の 01:00-07:00 だけ(UTC)

この例で「9月5日から12日までずっと制限されている」と読むと、実際よりかなり広く見積もることになります。 逆に D項が無ければ、B項からC項までがそのまま実施期間です。

D項は書き方が一定ではありません。日付を並べたもの、 曜日で書いたもの(MON-FRI)、日照で決まるもの(HJ=日の出から日没まで) などがあり、複数の条件が組み合わさることもあります。 この項目はデコーダでも自動変換していません。書き方が多様で、 機械的に読み替えると誤りが出るためです。数字は UTC なので、9時間を足して読んでください。

F項とG項は高度

F項が下限、G項が上限です。基準がいくつかあり、これも読み違えの元になります。

書き方意味
SFC地表面
GND地面
10000FT AMSL平均海面から 10,000 フィート
350FT AGL地表面から 350 フィート(真上の地面が基準)
FL100フライトレベル100。標準気圧での高度で、おおむね 10,000 フィート
UNL上限なし

AMSL(海面基準)と AGL(地面基準)は別物です。 標高のある場所では同じ数字でも実際の高さが変わります。

★ 実物を1件、最初から最後まで読む

ここまでの説明を、実際に出ていた1件に当てはめます。 2026年8月22日に国土交通省SWIMから取得した羽田空港の実物です(有効期間はすでに終了しています)。

(J1766/26 NOTAMN
Q)RJJJ/QMRLC/IV/NBO/A/000/999/3533N13947E005
A)RJTT B)2608221445 C)2608222100
E)RWY 16R/34L CLSD DUE TO MAINT
RMK: AVBL CROSS RWY 16R/34L VIA TWY OTHER THAN CLSD TWY
SEE AIP RJTT AD2.23)
行読み
J1766/26 NOTAMN2026年のJシリーズ1766号。NOTAMN なので新規(種類の説明)
Q)RJJJ/QMRLC/…RJJJ=福岡FIR(日本の空域)。QMRLC=主題MR(滑走路)+状態LC(閉鎖)。IV=計器飛行・有視界飛行の両方に関係。A=飛行場の情報。000/999=高度の指定なし。末尾3533N13947E005=北緯35度33分・東経139度47分を中心に半径5海里(Qコード表・座標の読み方)
A)RJTT対象は東京国際空港(羽田)
B)2608221445 C)2608222100有効期間。UTCなので9時間足すと、日本時間 8月22日 23:45 〜 8月23日 06:00。深夜の工事時間帯だと分かる
E)RWY 16R/34L CLSD DUE TO MAINT滑走路16R/34Lは整備(MAINT)のため閉鎖(CLSD)。続くRMK(注記)は「閉鎖中でない誘導路(TWY)経由なら横断可(AVBL)」。略語は対訳表で引けます

読み取れた中身は「羽田のA滑走路側が深夜に整備で閉まる」——これだけです。 慣れれば1件30秒で済みます。同じ分解はデコーダに貼り付けても出てきます。

読めた後 — どれを優先するか

読み方を覚えた次につまずくのは量です。大きな空港では常時数十件が有効で、 全部を同じ濃さで読むと本当に効くものを見落とします。機械的に絞る順序を決めておきます。

  1. A項で自分に関係する場所だけに絞る
  2. B/C項で自分が見たい日時に重なるものだけに絞る
  3. D項があるものは、有効期間の中の「実施される時間帯」まで見る(ここを飛ばすと空振りします)
  4. 残ったものだけE項を精読する

それでも件数が多い運航の現場では、重要なものが埋もれる「NOTAMの読み落とし」が 課題として知られています。飛行前に公式の束として受け取る仕組みが PIB(飛行前情報公報)で、個々の電文を拾い読みする方法とは役割が違います。

よくある質問

Q項とE項で内容が食い違うように見えます。

Q項は機械処理のための要約なので、E項の細かい条件までは表現できません。運航の判断はE項の原文を基準にしてください。Q項はあくまで「どの種類の情報か」を素早く分類するためのものです。

D項の書き方が読めません。

D項は「日付+時間帯」「曜日+時間帯」「月日を並べたもの」など書き方が一定でなく、複雑な条件が入ることもあります。この点はデコーダでも自動変換していません。原文を読み、UTCであることに注意して解釈してください。

同じ場所に複数の NOTAM が出ているときはどれを見ますか。

番号の新しいものが古いものを差し替えている場合があります。NOTAMR の後ろに書かれた番号が、差し替えられた側です。詳しくはNOTAM の種類を見てください。

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