花火

花火のNOTAM — なぜ出て、どう読むか

花火は airplane の話ではなく地上の行事ですが、NOTAM に載ります。低い高度を飛ぶ航空機にとって、突然の打上げは現実の危険だからです。なぜ載るのか、実物がどう書かれているのかを、実際の電文で見ていきます。

このサイトは国土交通省・航空局の公式サイトではありません。表示は参考用で、実際の飛行の計画・判断には必ず公式の航空情報(SWIM/AIS)の原文を確認してください。NOTAM は空域の制限や施設の状態を知らせるもので、催し物の開催を公式に告知するものではありません。

なぜ花火が NOTAM に出るのか

根拠は航空法施行規則第209条の2です。国が提供する「航空情報」の内容を列挙した条文で、 その第6号に「ロケット、花火等の打上げ、航空機の集団飛行その他航空機の飛行に影響を 及ぼすおそれのある事項」が明記されています (e-Gov: 航空法施行規則)。

つまり花火の打上げは、滑走路の閉鎖や航法施設の故障と同じ「航空情報」の一種です。 ヘリコプターや小型機は低い高度を飛ぶので、時間と場所と到達高度が事前に知らされている必要があります。

★ 実物を読む — QWHLW

2026年8月22日に国土交通省SWIMから取得した実物です(静岡県内の花火)。

(I4578/26 NOTAMN
Q)RJJJ/QWHLW/IV/M/AW/000/005/3444N13744E001
A)RJNH B)2610092300 C)2610110305
D)09 2300/2305 10 0500/0505 2300/2305 11 0300/0305
E)FIREWORKS:
PLACE: RADIUS 60M CENTER 344341N1374346E
(HAMAMATSU-SHI IN SHIZUOKA)
F)GND G)493FT AGL)
読み
QWHLW主題 WH=花火(国際的な定義は発破ですが、日本では花火の告知に使われます)+状態 LW=実施される(Qコード表
B) C)有効期間はUTC表記。9時間足すと 10月10日 08:00 〜 10月11日 12:05(日本時間)
D)09 2300/2305 …実施はこの中の指定時間帯だけ。UTCの「09日 23:00〜23:05」は日本時間の10日 08:00〜08:05。つまり3日間・1回たった5分の打上げが4回。大会の演出ではなく、行事の合図の号砲がこの形で載ります
E)場所は「中心 344341N1374346E・半径60m」。Q項末尾の半径1海里(約1.9km)は丸めで、実体はE項の60mです(座標の読み方で実際に変換しています)
F)GND G)493FT AGL影響する高さは地面から約150m(493フィート)まで

「花火」と聞いて想像する夜の大会だけでなく、朝や昼の号砲・煙火もこうして流れます。 D項を読まないと「3日間ずっと危険」に見えてしまう——D項の大切さが分かる好例です。

NOTAM は開催の告知ではない

気をつけたいのは向きです。NOTAM は空域の側への注意喚起であって、 行事の開催を約束するものではありません。天候などで中止になっても NOTAM が残っていることはありますし、 逆に NOTAM が出ていない行事もあります。 「NOTAM が出ている=開催される」という読み方はできません(NOTAMとは)。

打ち上げる側の手続き

花火を上げる側には航空法第134条の3の決まりがあります。空港周辺の指定空域では許可、 それ以外でも一定の場所・高さではあらかじめの通報が必要で、 この届出が国の側で NOTAM になります。 条文・窓口・罰則はノータム申請にまとめました。

手元の12件を測ってみる

このサイトが2026年8月22日に取得したデータには、花火(QWHLW)が12件ありました。 全部を測ると、書き方の癖が見えてきます。

項目12件の実測
Q項の半径12件すべて 001(1海里)。丸めの最小単位なので、Q項からは規模の違いが読めない
E項の実半径50m 〜 240m。ほとんどは 50〜80m で、大きな会場だけ 100m を超える
到達高度(G項)345 〜 2435フィート(約105 〜 740m)。規模の差はこちらに出る
場所の書き方E項の末尾に (NIIGATA-SHI) のように市区町村名がローマ字で入る
D項(時間帯)12件中4件にあり。連日の行事で「毎日この時間だけ」を伝える形

実務的な結論はひとつです。花火の NOTAM は E項を読まないと何も分からない。 Q項の座標と半径だけ拾うと、50m の号砲も 240m の大会もすべて「半径1海里」に見えてしまいます。

「落下傘」は花火とは別のコード

紛らわしいものに落下傘降下(パラシュート)があります。 これは人が降りる訓練・催しで、Qコードは WP(落下傘降下)。花火の WH とは別物です。 取得データにも QWPLW が別に6件あり、こちらは着地区域が多角形の座標で書かれます。 「落下傘」の語で花火を探している場合も、コードで引くなら QWHLW の側です(Qコード表)。

いま出ている花火の NOTAM を見る

日本語一覧の種類の絞り込みに「花火」があります。 Qコード QWHLW で機械的に拾っているので、上で読んだのと同じ形の実物が並びます。 手元に電文があればデコーダでも同じ分解ができます。

よくある質問

花火大会の上を飛行機は飛ばないのですか。

NOTAMが伝えるのは場所・時間帯・到達高度で、それを見てどう避けるかは運航側の判断です。自動的に空域全体が飛行禁止になるわけではありません。

どんな花火でも NOTAM になりますか。

基準は規模ではなく場所です。航空法134条の3と施行規則が、空港周辺の指定空域(許可)や、進入表面の上空・地上150m以上の航空路内・その他250m以上など(通報)という形で場所と高さで区切っています。庭先の玩具花火は対象になりません。

花火の NOTAM はいつ頃から出ますか。

決まりとして確認できた期限はありませんが、手元の実物では10月上旬の行事の分が8月下旬の取得時点で既に出ていました。数週間前から載ることがあるので、直前だけでなく早めに確認する価値があります。

花火の NOTAM だけを検索するには。

Qコードで QWHLW を指定するのが確実です。このサイトの一覧では種類「花火」で絞り込めます。

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