基礎

NOTAMとは

NOTAM は「ノータム」と読みます。航空機の運航に関わる一時的な変更や危険を、関係者へ早く伝えるための公式の通知です。

このサイトは国土交通省・航空局の公式サイトではありません。表示は参考用で、実際の飛行の計画・判断には必ず公式の航空情報(SWIM/AIS)の原文を確認してください。NOTAM は空域の制限や施設の状態を知らせるもので、催し物の開催を公式に告知するものではありません。

何のためにあるのか

空港や空域の情報は、ふだんは航空路誌(AIP)という分厚い資料にまとまっています。 ところが現実には、そこに書ききれない変化が毎日起きます。

  • 滑走路が工事で今夜だけ閉鎖される
  • 誘導路の灯火が故障して直るまで使えない
  • 空港のそばにクレーンが立った
  • ある空域で今週末に訓練が行われる

こうした一時的な変更を、資料の改訂を待たずに伝えるのが NOTAM の役割です。 名前も「Notice to Air Missions(航空活動に対する通知)」の頭文字からきています。 以前は「Notice to Airmen」でしたが、性別を含意しない表現へ改められました。

逆に言うと、恒久的な変更は NOTAM では伝えません。 長く続くことが分かっている内容は AIP 側に載せ、その改訂が効くことだけを NOTAM で知らせます。 詳しくはNOTAM の種類で扱っています。

誰が出しているのか

NOTAM を作って配るのは、各国の航空情報業務(AIS)を担う機関です。 日本では国土交通省が担っており、配信はSWIM という基盤を通じて行われています。

元になる情報は、空港の管理者、管制機関、工事を行う事業者、訓練を行う部隊など、 その変化を起こす側から上がってきます。本人が勝手に出せるものではなく、 所定の手続きを経て航空情報として発行されます。

発行されたものは世界中で共有されます。日本の空港の NOTAM は、 海外の運航者も同じ形式で読むことができます。

なぜ英語の略語だらけなのか

初めて見ると暗号のように見えます。これには理由があります。

理由内容
国際的に読まれるどの国の人でも同じ意味に読めるよう、言語を英語に、語を決まった略語に固定している
通信量を抑えてきた電文で送っていた時代の名残で、文字数を切り詰める書き方が残っている
機械で処理するQコードのように、機械が分類できる形が組み込まれている

つまり読みにくいのは事故ではなく設計です。決まりを知れば、 英語が得意でなくても「何が・いつ・どこで」までは取り出せます。 このサイトはその部分を日本語にする道具を用意しています。

AIP・AIC・NOTAMの違い

航空情報には種類があり、役割で分かれています。混同されやすいので整理します。

名前役割変わる速さ
AIP(航空路誌)恒久的な情報の本体。空港の諸元、進入方式、空域の定義定期的な改訂
AIP SUP(補足版)数か月にわたる一時的な変更。長期の工事など随時
AIC(航空情報サーキュラー)解説や注意喚起。手続きの周知など随時
NOTAM短期の変更と危険の速報随時・即時

実際の NOTAM の本文には REF AIP SUP 187/26 のように、 他の資料を参照する書き方がよく出てきます。 これは「詳しくはそちらを見よ」という意味で、NOTAM 側には要点しか書かれていません。

また THIS NOTAM WILL BE INCORPORATED IN SUP と書かれていれば、 いずれ補足版に移る予定という意味です。長引く内容が NOTAM から離れていく流れが見えます。

1件はどれくらいの期間出ているのか

数十分で終わるものから、数か月続くものまで幅があります。 このサイトが掲載している実データを見ると、実際にこれだけの幅があります。

長さよくある内容
30分〜数時間花火の打ち上げ、滑走路の清掃、レーダーの整備
1日〜数日誘導路の工事、灯火の一時的な停止
1〜3か月障害物灯の故障、長期の工事、無人航空機の反復飛行
終わりの定めなしPERM と書かれたもの。いずれ航空路誌へ反映される

長いものには D項(実施時間帯)が付くことが多く、 有効期間の全部で実施されるわけではありません。 「1か月有効」と書いてあっても、実際に実施されるのは指定された日の指定された時間帯だけ、 という形がよくあります。

★ NOTAMで分かること・分からないこと

ここを取り違えると誤解のもとになります。

分かること

  • その施設や空域に、いつからいつまで、どんな変更や活動があるか
  • 影響する高度の範囲と、おおよその位置
  • その情報が新しいものか、古いものを差し替えたものか

分からないこと

  • 催し物の開催予定。NOTAM は空域や施設の状態を知らせるもので、 イベントを公式に案内する文書ではありません
  • その活動が許可されたかどうか。NOTAM は周知であって許可ではありません
  • 実際にその通り行われるか。天候などで中止されても、NOTAM が即座に取り消されるとは限りません

また、NOTAM に出ていない=何も起きていない、ではありません。 規模や場所によっては NOTAM にならない活動の方がずっと多くあります。

よくある質問

NOTAMは誰でも見られますか。

日本の NOTAM は、国土交通省の SWIM に登録すれば閲覧できます。読むだけならその場で使い始められ、申請書は不要です。詳しくは日本のNOTAMの入手先にまとめました。

NOTAMは日本語で出ませんか。

出ません。国際的に共有される文書なので英語の決まった略語で書かれます。このサイトのデコーダは、その構造を日本語に直して読めるようにするものです。

ノータムとNOTAM、どちらが正しいですか。

どちらも同じものを指します。日本語の文章では「ノータム」と書かれることもあります。公式の資料では「ノータム」の表記が使われています。

NOTAMは1日に何件くらい出ますか。

日本の空域だけでも、有効なものは常に千件を超える規模で存在します。新しく発行される数は日によって変わりますが、工事や訓練が集中する時期は増えます。全部を読むことは前提とされておらず、必要なものを条件で絞って受け取ります(PIBとブリーフィング)。

NOTAMに書かれた内容は必ず実施されますか。

限りません。天候などで中止されることがあります。逆に、中止されても NOTAM が即座に取り消されるとは限りません。実施の有無を確定的に知る手段としては使えません。

次に読むページ